バトルロワイヤル
「えっ?嘘だろ?…なんであんな元気なやつが死ななきゃいけないんだよ!」オレは信じられなかった。
「藤岡は実験中に、細菌によって……死んだ。」猫田は猫背をさらに丸めた。
「そんな…」
「でもあいつはただ死んだんじゃない!!オレ達にこれを残してくれたんだ!!」
猫田は右ポケットから小さい黄色の玉を取り出した。
「藤岡が死んでまで残したものってこんな小さな…」
「待て、亮佑…」児玉は興奮したオレを止めた。
「…これは解毒薬…というよりは細菌による侵食を食い止める薬だ。藤岡がいなかったらこの“スプレー式細菌”は使えない…。」
見ると猫田以外の特殊部隊3人は何かタンクを背負っていた。
「大石が背負っているものは、タンパク質を食べ腐らす細菌、西尾が背負っているのは、金属を錆びさせる細菌…」
(あの時見たやつだ…)
オレは実験を思い出した。
「…そして広瀬が背負っているのは、食べたものに炭素を含ませ炭に変える細菌だ…。」
猫田の紹介が終わるとオレ達は急に細菌が恐ろしく思えた。
「…藤岡がいなかったら自分達がこの細菌にやられてた…。」
オレはやっと猫田を理解することができた。
< 172 / 358 >

この作品をシェア

pagetop