バトルロワイヤル
(サザァ…)

真弓が行きたいと言った場所は須磨の海だった。

オレ達はほとんどがロシアに行き無人となったバイクを盗み、無人の須磨の海へと着いた。

「亮ちゃん…綺麗ね…」

時刻は5時を回り夕日がよく見えた。

「綺麗だけどどうしてここなんだ?」

(ビュウウウ…)
風が忙しく吹くオレ達が立っている場所は海の磯にある崖だった。

真下には打ち付ける波が踊っていた。

「オーイ…オーイ…」
人のような声が聞こえた。
「ほら亮ちゃんも聞こえるでしょ?」真弓はどこか様子がおかしい。

「…??」

「こじゃま達が叫んでるのよ、この海の下から…」

「オーイ、オーイ…」
確かに聞こえる人の声。

「きっと私達を呼んでるのよ…天国から…」
真弓がフラッと体を風にゆだねかけた瞬間オレは声の正体がわかった。

(ガッ…)
「真弓、これは人の声じゃない、波で削られた裂け目に風が吹き込んでそう聞こえるだけだ!!」
初めて真弓を抱き締めた気がする…。
ずっとこのままでいたい。
「真弓…一緒に日本で頑張ろう…」
(ギュッ…)
オレは泣いている自分を隠すため後ろから抱き締めている。
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