年上王子のお嫁さん☆
通話ボタンを押した途端に聞こえてくる、愛しい人の声。
久し振りの彼女の声は
身体中に響いて、甘い余韻を残して消えていく。
「あぁ。どうした?」
『ぇ?……ちょっと、声が聞きたくなって…』
恥ずかしそうに言う華に
いつもならニヤニヤしてしまうが…
今日は、違った。
「……なんかあっただろ?」
『…っ……』
受話器の向こうで、静かになる華。
…やっぱりな。
華は、何かあると決まって
“ちょっと声が聞きたくなって”
とか
“繋ぎたくなって”
とかと言って、手を繋いできたりする。
.