年上王子のお嫁さん☆


通話ボタンを押した途端に聞こえてくる、愛しい人の声。



久し振りの彼女の声は

身体中に響いて、甘い余韻を残して消えていく。




「あぁ。どうした?」


『ぇ?……ちょっと、声が聞きたくなって…』




恥ずかしそうに言う華に

いつもならニヤニヤしてしまうが…



今日は、違った。





「……なんかあっただろ?」


『…っ……』



受話器の向こうで、静かになる華。


…やっぱりな。



華は、何かあると決まって

“ちょっと声が聞きたくなって”

とか


“繋ぎたくなって”


とかと言って、手を繋いできたりする。




.
< 215 / 425 >

この作品をシェア

pagetop