子供は大人に恋をする
「浅田さん、お手伝いします」
「ならコップを二つ出してくれるかい?」
「あい!」


浅田さんのコップは黒くて大きなマグカップです。僕のコップは透明で小さいコップです。浅田さんは毎朝コーヒーを飲むのが日課だそうですが、僕はコーヒーが苦くて飲めないので毎朝ミルクを飲んでいます。お口の周りに白いおひげみたいにならないように飲むのは、まだちょっと難しいです。大きな冷蔵庫から自分用にミルクを取り出した後また浅田さんに近付きます。浅田さんはフライパンで卵とベーコンを焼いていました。僕は端がカリカリになったベーコンが好きなので、浅田さんは毎日カリカリにしてくれます。食パンを焼いていない事に気付いたので袋を見せると、頭をくしゃって撫でられました。


「今日はマコに焼いてもらおうか」
「あい、僕頑張ります!」


パンを焼くのを任されたのは初めてなので、ドキドキします。いつも浅田さんがやるみたいに二枚の食パンをトースターの切り込みに入れて黒いレバーみたいなのを下に下げます。ジジジジジジ……っていう小さな音が焼けてる証拠なんだよって前に教えてもらったのを思い出しました。
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