恋に落ちて


昼休みになった。

お弁当箱を持って教室を出ようとしたところ、赤城さーん、といつもの女の子達に呼び止められる。

何が言いたいかは、安易に予想がついた。



「購買でパン買ってきてくれない?あ、おごりで」



彼女は予想通りの言葉を発した。

そして私は、心で思い描いていた言葉とは逆の言葉を発する。
わかりました、と。



「ありがとー、じゃあ全員分よろしくね!」

「……はい」



あぁ、私馬鹿みたい。

こんなことにお金を使うなら、ドブに捨てたほうがマシだ。

流石に、うまく笑えなかった。


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