『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第154話
俯く昭太郎に坂井は声をかけた。
「昭太郎君、君は頑張ってね、ウチのは言葉が悪くてすまなかったね」
大雨の中、傘をさして少し笑顔をつくった坂井氏。
深く頭を下げる昭太郎。
少しスタイルは違うが、病人は生意気ぐらいの方が丁度いいと思っていた昭太郎は初めて坂井夫人の心境を考えた。
「諦めてる人はここに来ないよな・・・。死ぬなら日本で死にたいよな・・・・」
土砂降りの中、小さいビニール傘で肩を濡らす坂井氏の背中が小さくなっていく。
月明かりに濡れた芝生が光るその夜、昭太郎はボンヤリと考えていた。
「3人手術を受けて1人死んだ・・・3人死んで、2人生きた。・・・・残りは俺と諸島さんの2人か・・・また新しい人が来るのかな・・・こんなことが繰り返される・・・有り得ない世界だよな・・・・諸島さんは2年もこんな生活をしてるんだ・・・やっぱり早く帰りてぇーよ・・・」
★
スコールの激しさにも慣れてきた長い夏だったが、段々涼しくなってきて秋の気配を感じさせる様になってきた。
今日こそはとポケベルを握りしめ一日一日が過ぎていく。
思いっきり落ち込む日は無くなったが、体調が悪くなると焦って母親と喧嘩する。
そんなことも日常になってきた。
日本で買った往復航空チケットの期限が過ぎて使えなくなった。
「もうじき1年か・・・」
その紙切れになったチケットを片手に呟いた。
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俯く昭太郎に坂井は声をかけた。
「昭太郎君、君は頑張ってね、ウチのは言葉が悪くてすまなかったね」
大雨の中、傘をさして少し笑顔をつくった坂井氏。
深く頭を下げる昭太郎。
少しスタイルは違うが、病人は生意気ぐらいの方が丁度いいと思っていた昭太郎は初めて坂井夫人の心境を考えた。
「諦めてる人はここに来ないよな・・・。死ぬなら日本で死にたいよな・・・・」
土砂降りの中、小さいビニール傘で肩を濡らす坂井氏の背中が小さくなっていく。
月明かりに濡れた芝生が光るその夜、昭太郎はボンヤリと考えていた。
「3人手術を受けて1人死んだ・・・3人死んで、2人生きた。・・・・残りは俺と諸島さんの2人か・・・また新しい人が来るのかな・・・こんなことが繰り返される・・・有り得ない世界だよな・・・・諸島さんは2年もこんな生活をしてるんだ・・・やっぱり早く帰りてぇーよ・・・」
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スコールの激しさにも慣れてきた長い夏だったが、段々涼しくなってきて秋の気配を感じさせる様になってきた。
今日こそはとポケベルを握りしめ一日一日が過ぎていく。
思いっきり落ち込む日は無くなったが、体調が悪くなると焦って母親と喧嘩する。
そんなことも日常になってきた。
日本で買った往復航空チケットの期限が過ぎて使えなくなった。
「もうじき1年か・・・」
その紙切れになったチケットを片手に呟いた。
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