『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第2話
大騒ぎだったその場がそこに立つ姿で静かになったとき、昭太郎は皆の顔を見まわしながらはじめた。
「本日は遠いところありがとうございます。わたくし、大林昭太郎はオーストラリアで肝臓移植手術を無事に終え、帰国することができました。出発するとき、実はもう帰ってくる事はできないかもしれない・・・なんて思ったりしましたが、今、無事に手術を終え、ここにいることが嬉しくてたまりません。ほんとうに・・・本当にありがとうございました」と選手宣誓をするような調子ではじめたが、後半こみあげる泪をこらえきれず、思っていた半分以上も言えないまま、頭を深く下げた。
見上げると、大きな花束を持った彼女、いや元彼女が泪を浮かべていた・・・。
【そう、僕は無事に海外脳死肝移植が成功してオーストラリアから帰国したあの日、まだ痛む腹の傷に嬉しさを覚え、また皆に会えた感謝そして2度目の人生の重みを感じてはいたが、何処かで俯瞰的に自分を見ていた。
そして、この帰国だけを目標に生きてきた僕はこれからの生活に戸惑い、ただ笑顔を絶やさないことに精一杯だった・・・。】
大騒ぎだったその場がそこに立つ姿で静かになったとき、昭太郎は皆の顔を見まわしながらはじめた。
「本日は遠いところありがとうございます。わたくし、大林昭太郎はオーストラリアで肝臓移植手術を無事に終え、帰国することができました。出発するとき、実はもう帰ってくる事はできないかもしれない・・・なんて思ったりしましたが、今、無事に手術を終え、ここにいることが嬉しくてたまりません。ほんとうに・・・本当にありがとうございました」と選手宣誓をするような調子ではじめたが、後半こみあげる泪をこらえきれず、思っていた半分以上も言えないまま、頭を深く下げた。
見上げると、大きな花束を持った彼女、いや元彼女が泪を浮かべていた・・・。
【そう、僕は無事に海外脳死肝移植が成功してオーストラリアから帰国したあの日、まだ痛む腹の傷に嬉しさを覚え、また皆に会えた感謝そして2度目の人生の重みを感じてはいたが、何処かで俯瞰的に自分を見ていた。
そして、この帰国だけを目標に生きてきた僕はこれからの生活に戸惑い、ただ笑顔を絶やさないことに精一杯だった・・・。】