『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第3話

~その日を迎える3年前~

砂浜に停めたハッチバックに朝陽が差し込む。

ウエットスーツでカンコーヒーを飲む昭太郎。

その横でサーフボードにワックスをかけながらタバコを吹かすのは学生時代の同級生、鶴見勇介。

「今日は用事あんだろ?」ストレッチをしながら勇介が訊く。

「あぁ、午後から会社の友達とテニスやることになってる」

「昭太郎はタフだよなぁ」

「ばか、タフじゃねぇーよ、気合いだよ。色々やらなきゃ人生つまんねぇーだろ」と昭太郎はカンコーヒーを飲み干した。

「そんなに色々やられると、俺がだらしねぇみたいじゃねーか、ほどほどにしてくれよ」

「そんなの知るか!」
 昭太郎は勢いよく海面にボードを滑らせ、パドりはじめた。

「先に行くなよ!」
 勇介はダッシュで昭太郎を追い越した。

初冬の九十九里浜でいつものようにサーフィンを楽しんでいた昭太郎は足の裏にいつもとは違う異常な感覚を覚えた。

「この砂浜痛くねぇ、足の裏に砂が刺さるような感じがするんだけど」

「えぇっ、砂だよ」あっさり答える勇介に首を傾げる昭太郎。

「そうかなぁ、おかしいなぁ・・・」

昭太郎は企画会社に勤める27歳プランナー。
仕事も遊びも楽しみながらやることがポリシーの前向き男だ。

しかし、その日から足に感覚異常がおこりはじめた。
足に触れるものが痛くなり始めて数ヶ月、ズボンが足に擦れることすら耐えられなく、摩擦を避けるためにストッキングを履くようになっていた・・・。


< 4 / 235 >

この作品をシェア

pagetop