『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第86話
少しの沈黙から明るい話題に変えようと昭太郎が切り出した。
「でも彼女さんの海外移植に1年も付き添うなんて素敵ですよね。川島さんは帰ったら上松さんと結婚するんですか?」
その言葉に一瞬戸惑った川島だったが、冷静に話しはじめた。
「・・・正直に話すけど、多分結婚しないね、ここでの1年は地獄だったからね、彼女とやっていく自信が無くなっちゃったんだね・・・。彼女のために一緒にオーストラリアに来るところまでは美談だったんだけどね・・・」
感慨深い川島の表情に
「・・・そうなんですか」と言葉少なめに答える昭太郎。
「そうだよ、別にビビらせるつもりは無いけど、多分1回はお母さんと大喧嘩するよ」
「そうですかねぇ・・・」
「病院はいつから?」
「明日です」
「じゃあ、倉本さんとは仲良くした方がいいな」
「倉本さんって?」
「日本人の移植コーディネーター」
「怖い人なんですか?」
「怖いっていうか、厳しい人だよ。倉本さんのお子さんがここで移植手術を受けて、それから移植コーディネーターをやってるんだ、倉本さんがいなきゃ僕たちはここにいないってこと、そして、病院でのことは彼女がいないと何にもできないってことだよ。ちょっと英語ができるぐらいじゃ病気の専門用語なんかわからないだろ。全ては彼女がフィルターになるってことだから、仲良くしなきゃ始まらないってことだよ」
「なるほどねぇ、倉本さんかぁ・・・そういう人がいるから俺がここにいれるのかぁ・・・」少し考えながら空を眺めた。
やけに星が見える夜だった。
椰子の木のような葉っぱがやけに大きいのが気になる温い夜だった。
★
少しの沈黙から明るい話題に変えようと昭太郎が切り出した。
「でも彼女さんの海外移植に1年も付き添うなんて素敵ですよね。川島さんは帰ったら上松さんと結婚するんですか?」
その言葉に一瞬戸惑った川島だったが、冷静に話しはじめた。
「・・・正直に話すけど、多分結婚しないね、ここでの1年は地獄だったからね、彼女とやっていく自信が無くなっちゃったんだね・・・。彼女のために一緒にオーストラリアに来るところまでは美談だったんだけどね・・・」
感慨深い川島の表情に
「・・・そうなんですか」と言葉少なめに答える昭太郎。
「そうだよ、別にビビらせるつもりは無いけど、多分1回はお母さんと大喧嘩するよ」
「そうですかねぇ・・・」
「病院はいつから?」
「明日です」
「じゃあ、倉本さんとは仲良くした方がいいな」
「倉本さんって?」
「日本人の移植コーディネーター」
「怖い人なんですか?」
「怖いっていうか、厳しい人だよ。倉本さんのお子さんがここで移植手術を受けて、それから移植コーディネーターをやってるんだ、倉本さんがいなきゃ僕たちはここにいないってこと、そして、病院でのことは彼女がいないと何にもできないってことだよ。ちょっと英語ができるぐらいじゃ病気の専門用語なんかわからないだろ。全ては彼女がフィルターになるってことだから、仲良くしなきゃ始まらないってことだよ」
「なるほどねぇ、倉本さんかぁ・・・そういう人がいるから俺がここにいれるのかぁ・・・」少し考えながら空を眺めた。
やけに星が見える夜だった。
椰子の木のような葉っぱがやけに大きいのが気になる温い夜だった。
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