『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第90話

翌日も翌々日も主治医は現れなかった。

「倉本さん、何で医者が来ないんですか?何で検査をやらないんですか?」

「明日にでも来るでしょ、検査もそのうち始まるわよ」さらっと答える倉本。

「そのうちって、早く検査を終わらせて1日でも早く移植リストに載りたいんですけど」

 興奮気味な昭太郎に動じることもなく倉本が答える。
「大丈夫よ、医者もそのうち来るし、検査もそのうち始まるから」

「・・・・・」

「オーストラリアスタイルに慣れないと疲れるわよ」

「はぁ?」

「こっちで1時間待ってって言われたら3時間は待たされる。1日後に検査って言われたら3日後だと考える。そんな感じよ」

「なんですか、それ」

「オージースタイル!オージータイムって感じよ」

「そんなんでいいんですか?」

「いいも何も、そうなんだから従うしかないでしょ、こっちは日本みたいにセカセカしてないの。ナース達だってビスケット食べながらやってるでしょ」

「そんなもんすか」

「そんなもんよ」

「・・・・・」



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