入選作品「てっぺん祭り」【短編完結】
 「ラビは昨日の大雨でも練習していたし、誰よりも頑張っていました」
 泣き出す妹の横でモンタがそう言うと、うさぎ村の中からポツリポツリと拍手がおき、しだいに大きく広がります。みんなの笑顔が見えたとき、涙目のラビが言いました。
 「モンタ、プーマン、君達と走ったことで大切なものがわかったよ、ありがとう」

 鳴りやまない拍手は猿村、熊村の全員にも伝わり、大歓声が三人をほめたたえます。
 そのとき突然!泉に光がさして美しい女神が現れたのです。
 みんなは目をぱちくりさせています。
 「三人の心がみんなに感動を与え、三つの村を一つにさせましたね。自分の好きなことに素直なモンタ、いつでも仲間と楽しむことを忘れないプーマン、全力で目標に向かったラビ、みんな素晴らしいです。これからも変わらずにいてください。村のみなさんも彼らのように、自分に大切なものをもち続けてください」

 女神はそう言葉を残すと、月まで真っ直ぐにのびた光の中を昇っていきました。
 女神が去ったあとの泉にはたくさんのバナナとニンジンが積み上げられ、大きな壺いっぱいにハチミツが入っていました。

 ドーン!花火の音がひびいた瞬間、みんなの笑顔が赤や黄色にそまります。
 いつもより明るい月にてらされて、『てっぺん祭り』の幕があく。


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