好きだけじゃ足りない





「うわっ……すごい!ねぇ、伊織あれあれ!」


明さんの家から約3時間掛かって着いた水族館。

水族館に入るなり色とりどりの魚が迎えてくれたそれはお伽話に出てくる竜宮城みたいだ。


落ち込む気持ちは魚達に癒され、はしゃぐ私を苦笑いをしながら付き合ってくれる伊織。



「おー、すごいすごい。」

「カメ!カメ泳いでる!」

「まぁ水族館だからな…つーかお前、迷子になるなよ?」


呆れたような伊織の言葉も今の私は聞き流す事ができる。

大型水槽にへばり付いたまま魚達を見てただ、"すごい"と連呼するしかない。



「メグって水族館好きなんだな。」

「ん?好きだよ。

水族館ってなんか神秘的な場所だし…人間はできないような泳ぎするじゃん、魚って。」

「まぁなー…こんな長く潜るとかできねぇしな。」


長く潜る事ができるから、とかそんな理由ではないけど、それでもやっぱりそんな理由も含まれるかもしれない。



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