好きだけじゃ足りない
「またね!メグちゃん!」
「うん、また!」
搭乗ゲートを潜って二人が見えなくなった時、思わずため息が漏れてしまった。
「どうした?ため息なんかついて。」
「ううん、何もない。」
「…あんま考え込むむなよ?お前には俺がいんだからな。」
いつもみたいに髪をくしゃくしゃ撫でられて苦笑いで返す。
考え込むな、ってそれ自体が難しいんだ。
最初はただ一緒にいられればよかった。
ただ視界に入る場所から徐々に近くに居たいと思いはじめる。
今は…隣でずっと永遠二人だけなら、なんて愚かしい事を考えてしまう。
そんな自分に腹が立つし、何より本当に愚かだと思う。
隣に立つべき人は私なんかじゃない。
そう思う反面、
隣に立って良いのは私だけ。
そう思う自分がいるのも否めない事実ではある。
定刻を若干過ぎた時、ゆっくりと動き出す飛行機の窓から流れて消える白線をボーッと見ていた。