好きだけじゃ足りない
「……全部、知ってたんですか?」
「年の功、かな。なんとなくね。
ほら、決着付けておいで。」
昔から不思議な位に周りの変化に敏感なマスターを一時はちょっと怖いなんて思ってたけど。
今はそんなマスターと知り合えてよかったと思える。
――…千里眼持ってそう…あ、仙人なのかな。
馬鹿馬鹿しい思考に自分自身笑って、マスターに頭を下げる。
伊織に出会って、別れて、また出会って…繰り返す輪廻の中でも必ず真実は変わらない。
私の真実は、
伊織を誰よりも愛している。
それだけの事。
未来は他人に作ってもらうものじゃない。
自分自身で切り開くしかない。
カフェを出て、一つ深呼吸をした後、大きく一歩を踏み出した。