好きだけじゃ足りない
陽射しが射す場所

ショッピングモール




専務との約束の日まであと11日。



結局、別れたと思った伊織とまた元に戻って二日。

自分の職場で手付かずの書類を見て小さくため息を吐いた。



「具合でも悪いのかい?」

「え?あ、いいえ…何か……明日からお休みいただくのが申し訳なくて…。」


近すぎず遠すぎずの場所にいた所長に苦笑いをすれば、優しい安心するような笑顔を向けられた。



「メグちゃんは働きすぎな位だ。休んで気分転換したって罰は当たらないよ。」


書類をトントンと角合わせしながら言われた言葉にまた小さくため息を吐いてしまう。

休む事は罰当たりじゃなくても、休む理由が罰当たりなんです。

なんて言えるはずがない。



「楽しんでおいで。

恋人と行くんだろう?沖縄。」

「え…………いや…」

「お土産楽しみにしてるよ。」


にっこりと、そりゃあもうにっこりと笑われたら否定もできずにとりあえず曖昧に笑ってみた。

土曜日にうっかりと言うわけではないが伊織と約束した沖縄行き。
あんな事があったから私は行けないと思っていたのに、今朝電話で当たり前のように明日からの予定を告げられて頭を抱えたのは記憶に新しい事だったりもする。



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