初恋と流れ星
「こっちに座って見ない?」

その沈黙は倉吉くんが破ってくれた。

見ると、そこにはシートが敷かれてあり、その上にはペットボトルが2~3本置いてある。

わたしは言われた通りにシートにおじゃまさせてもらう。

「ありがと。準備がいいんだね」

「一晩中見るつもりだからね」

そう言って、倉吉くんはにっこり笑った。

本当に夢にまで見た倉吉くんがこんなに近い距離にいる。
なんだか信じられない。

それも、「サヨナラ」がなかったかのように普通に話してくれる。

ああ、そっか。
とっくに過去の話だった。

10年も前の話だ。

「今夜見れる星はペルセウス座流星群っていうんだ」

倉吉くんが空を見上げたので、わたしもそれに続く。

「この流星群は毎年夏に見られるんだ」

「そうなんだ。じゃあ毎年見てるの?」

「もちろん!」

倉吉くんは得意げに答えた。

なんだか少年のようでかわいい。


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