初恋と流れ星
車が山の麓の駐車場へ着いた。
午後10時半を回っている。
外へ出てみると、外灯があり思ったより明るいが、人の気配はなくしんと静まりかえっている。

少し怖い気もしたが、ここまで来たんだからと岩山の階段へと向かった。

ここに来たのは中学の時以来だけど、全然変わっていない。

どうしても初恋をしていた頃を思い出してしまう。

こんなにきつかったっけ?

思っていたより石段が長くて、頂上が見えたときには息も切れ切れだった。

もう少しで流れ星!
と最後の階段を登りきる。

そこに黒い人影が見えた。
思わず息をのむ。

だってそのシルエット……。

顔を見なくてもわかる。
何度も心の中で思い描いて、夢にまで見た人。

初恋の人がそこにいる。


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