左肩の重み~美香story~
熱を測ると、38度。


「いつから具合悪かった?」


髪をなでてくれる手が気持ちよくて、思わず目を細める。


「月曜日から。ちょっとだるくて、でもやることあったし大丈夫だと思って」


真人は絶対、なんで言わなかった?って言葉は使わない。


それはきっと、私が言えない性格だって知ってるから。


具合が悪くなったのは、日ごろの生活態度が悪いから。


体調を崩すたびに、親に言われてきた言葉。


別に悪気があって言ってる言葉じゃないくらい分かってる。


弟や妹にも言うし、私だけじゃないって。


でもなんとなく、この言葉を言われるのが嫌で、大学に入ってからは風邪なんかひいても、ひっそりと自分で薬を買って飲んでいた。


きっと悔しかったんだ。


図星だったから。


自分でも分かってることを指摘されて。


出来ない自分を指摘されているみたいで。
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