左肩の重み~美香story~
ああ、矛盾してると思った。


先輩たちにこの仕事を渡して逃げ出したいのに、それでも最後までやらないと気が済まない。


いろんなところが、ボロボロになりそう。


それでも私は、目の前にいる佐伯さんに笑顔を向けたんだ。


じゃないと、弱ってるところを見せてしまいそうだったから。


とにかく早く終わらせよう。


その一心で、毎日終電ギリギリまで頑張った。


「終わった」


やっとの思いで終えた仕事は、一発で合格が出た。


大きな仕事をやり終えたとはいえ、次の日から仕事がなくなるわけではいない。


「また表作らなきゃ」


まとめて欲しいと言われた資料内容を見て、ホッと息を吐いた。


やっぱりExcelは苦手。


みんなが帰ったあと、一人でこっそり練習するのが日課になっていた。


誰もいないオフィスは、唯一ホッとできる場所。
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