左肩の重み~美香story~
諦めてパソコンを開いた。


「Excel?」


「苦手なんです、Excel」


泣きたくなるくらい恥ずかしかった。


それでももうこの人にこれ以上自分の弱みを見せたくない。


その一心で、必死に笑顔を作った。


それからは、なんとなく佐伯さんの顔を見ることが出来なくなってしまった。


Excelの話に触れられるのが、怖い。


もうこれ以上、恥ずかしい思いはしたくない。


それから1ヶ月くらい、私は定時で仕事を終え真っ直ぐに家に帰った。


家でExcelの練習をしようとしても、なんだか集中出来ない。


佐伯さんがExcelのことを忘れてくれたであろう時期を狙って、私はまた夜のオフィスで一人でExcelの練習を始めた。


それでも一度見つかったものは、二度見つかるらしい。


また夜のオフィスで、佐伯さんと出くわしてしまった。


もう、ヤダ・・・
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