悪の姑シリーズ
時限爆弾
 私こと都は、いつか必ず夫である夏生とは別れる運命でしょう。
 何故なら、私は時限爆弾を抱えているのだから。
 勿論、本物の爆弾を抱えているわけではない。
 精神的な問題である。

 夫とは、三年付き合って結婚した。
 結婚して七年になる。
 その間、私が時限爆弾を抱えることとなった原因が蓄積されていった……。
 決して夫と不仲というわけではなく、むしろ今でも新婚のように仲が良い。

 原因は、姑を筆頭にした集団のせいである。
 姑は初対面の時から、私に対する目が明らかに違った。それは、憎しみの篭った目、女として嫉妬する目。そんなふうに見えた。そして、私と夫が実家に遊びに行く時は、必ず小姑、小姑の彼氏、夫の友人二人を揃えていたのである。

 夫がいる前では、軽く嫌なことを云われるだけだったので、耐えられた。


「都さん、あなた少し太ってない? 痩せた方がいいわ」


「都さん、お酒は控えた方がいいわね。飲まなければ痩せるし、健康的でしょ」


 姑が意地悪な顔で、そんなふうに云うと、決まって小姑、小姑の彼氏、夫の友人も、示し合わせたかのように、私を標的にしていた。 
 そしてそれが、悪意のあるものだと気付くのに、時間はかからなかったのである。
 夫が席を外した途端、私はあからさまに、全員に攻撃された。


「デブ、あんた、顔が綺麗だからって、幸せ太りしていいと思ってんの」


「そうよねぇ、お姉ちゃんの方が身体細いし、夏生に相応しいのはお姉ちゃんくらいだしね」


 大体、そんなふうに云うのは決まって姑と小姑で、それに相槌を打ち、同じような言葉を私に云うのは小姑の彼氏と夫の友人二人である。
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