DislikeMan~男なんて嫌い~
ガラっと突然病室のドアが開いた。
「あ、恋歌。来てたの?」
「あ、早苗。いたの?」
しばし、早苗と馴れ合いをして、2人で薪坂さんのベッドの前に腰掛ける。
「それよりさ、なんで早苗が薪坂さんが目を覚ましたこと知ってたの?」
ずっと疑問に思っていたことを、ようやく聞けた。
「あぁ、病院から連絡もらったの」
「え、なんで早苗んとこに連絡が行くわけ?」
それは、当然の疑問。
薪坂さんの親族じゃないのに、なんで目が覚めたっていう大事な連絡を早苗にするんだろうか。
「俺が事故に遭ったとき、たまたま早苗ちゃんが近くを通りかかって、一緒に救急車に乗ってくれたんだ」
あ、だから、薪坂さんが事故に遭ったことも、早苗は知ってたわけだ。
「で、そのときに、入院の手続きとか、全部早苗ちゃんがやってくれたから、早苗ちゃんのところに連絡が行ったってわけ」
「え、でも、普通そういうのってちゃんとした親族とかがやらなきゃいけないもんじゃないの?」
「俺の家族さ、今オーストラリアなんだよね」
だから、手続きとか出来ないんだ、と少し寂しそうに薪坂さんは言った。
「でも…自分の家族が事故に逢ったっていうのに…」
「俺んち、昔からそんなもんだよ」
その口調にはやはり寂しそうな、過去にに何かを背負ったような陰があった。