DislikeMan~男なんて嫌い~
家に帰り着いて、ふうっと息をつき、ソファに座り込む。
と、パーカーのポケットに入れていたケータイが震えた。
ディスプレイには、非通知の文字。
少し考えてから、恐る恐る電話を取った。
「も…もしもし?」
「あぁ、恋歌ちゃん?心次だけど」
「あ…」
そういえば、明日は卿渓さんと会うんだった。
しかも、2人で…。
なぜ、そんな約束をしたのか、今思えば不思議で仕方ない。
たった2人きりで男の人と会うなんて。
あのときの私は、どうかしてたんだ。
薪坂さんが事故に逢ったことで、頭が混乱してたから、卿渓さんと会おうって言われたときも、大して深く考えずに返事しちゃったんだ。
でも、今更断るわけにもいかないし…。
あ、そうだ。
早苗連れて行こうか?
でも早苗は卿渓さんとの間にいい思い出ない感じだったし。
「もしもし、恋歌ちゃん?聞いてる?」
「あ、ごめんなさいっ。聞いてます」
卿渓さんと電話してたこと、すっかり忘れてた…。
「明日のことなんだけどさ、予定入れたりしてないよね?」
今ならまだ間に合う。
今ならまだ、予定入っちゃいましたって言える……。
「あ…えぇ。ちゃんと、空いてます」
言っちゃった……。