DislikeMan~男なんて嫌い~



約束の時間の5分前。


「あ、居た。ごめんね、待った?」


思わずドキっとするような笑顔で、卿渓さんが私の前に座る。


「あ……いえ、大丈夫です」


思わず顔を俯かせてしまう。


「あれ?どうかした?」


私の顔を覗き込むようにして卿渓さんが聞くけど、目をみることもできなくてただ首を振る。


「……すいません」


顔を上げて、でも目を見ることはなくて。


そんな私を見て、卿渓さんはふっと笑った。


「俺、そんな話難い?」


「え…?」


「いや、なんかさ…」


ちょっと唖然。


自分でも驚くくらい卿渓さんにドキっとしたせいで、顔を俯かせてるだけだったのに、そんな風に見えてたなんて…。


「あ、いや、そうじゃなくて…」


そこまで言って言葉を切った。


あまりにも恥ずかしすぎない!?


"あなたの笑顔にドキっとしちゃって"


なんて、絶対言えないし。
< 113 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop