DislikeMan~男なんて嫌い~
「ここは…?」
2人でその部屋を眺めて、同時に言葉を発する。
「メイクルーム。ドレスアップ室っていう方が近いかな。とりあえず、お入り下さい」
部屋のドアを大きく開けて、おどけてみせる。
呆気にとられながらも早苗と2人でその部屋に足を踏み入れる。
「わっ……」
早苗が小さく感嘆を漏らす。
室内は想像よりも遥かに広く、私のマンションの部屋が丸々入りそうな広さ。
そこを埋め尽くすくらいの数のドレス。
なんだか、とても大きなクローゼットって感じ。
「凄い…」
まさに、その言葉しか出てこないような部屋。
「さ、恋歌ちゃん?この中から好きなの1つ選んで」
「え?」
「早苗ちゃんのほど豪華じゃないけど」
優しい微笑みを口元に湛えて、如月さんはそう言うけど……。
この中から1つだなんて、とても無理。
それに…。
「私、似合わないし」
スカートとか、ワンピースとか、あんまり好きじゃないし、似合わないのにドレスだなんて…。