DislikeMan~男なんて嫌い~
「ちょっと、一緒に来てよ。これどうするか相談しよう?」
腕を引っ張られて、抵抗も虚しく、どんどん連れて行かれる。
スーツを汚してしまったのは私だしっていう思いがあるから、あまり大袈裟にしたくない。
でも、このままじゃ何されるか分からないし……。
悩んでると、急におじさんの前に人が立ちはだかった。
もちろん、この人ごみだから、おじさんの前を遮る人はいるけど、その人は明らかにおじさんの前に立ちはだかるようにして立った。
「なんだよ、あんちゃん?邪魔だよ、どきな」
「……その子、放しな」
あれ?この声……。
耳馴染みのある声がしたから、その人を見上げる。
「如月さん…?」
「あなた、僕のこと知らないわけじゃないですよね?」
「あ?……っ」
如月さんを見上げたおじさんは、立ち尽くした。
「お坊ちゃん……」
「あなた確か、勝間貿易の勝間鉄芳さんでしたよね?」
「は、はい…」
「その子、放してください。じゃなきゃ、あなたの会社との取引停止しても構わないですよ」
「っ…」