DislikeMan~男なんて嫌い~
「恋歌ちゃん、帰ろうか」
そろそろ空もオレンジがかってきたころ、如月さんが静かに声をかけた。
「はい」
早苗が帰ってしまってから、なんとなく私と如月さんの間は沈黙が多くなってしまった。
こうしてみると、早苗がいてくれたことの意味の大きさがよくわかる気がする。
早苗には後でちゃんと謝っておかなきゃ。
遊園地をのゲートをくぐると、来たときと同様、ロールス・ロイスがいた。
藤野さんがドアを開けて立っている。
会釈をすると、やっぱり優しく微笑んで会釈を返してくれる。
「さ、乗って」
如月さんがそう促してくれたから、私は身をかがめてロールス・ロイスに乗り込んだ。
「どちらまで?」
「恋歌ちゃんの家」
「え、ちょっと待ってください。こんなので帰ったらびっくりされますから。家までじゃなくても……」
「じゃ、ちょっと前で適当に」
「かしこまりました」
藤野さんはそれ以降、必要なこと意外まったく喋らなくなる。
徹底されてるなとつくづく思う。