DislikeMan~男なんて嫌い~
「早苗ちゃん、どうしちゃったんだろうね」
「え?」
窓の外を眺めながら如月さんがそう言葉を発した。
「いや……あんなに楽しみにしてたのにさ、今日のこと。急に帰っちゃうなんて」
如月さんも同じ気持ちだったみたい。
ただちょっと違うのは、私はその原因をなんとなく分かっていること。
如月さんは何も知らないんだから、不思議に思うのも無理ないよね。
「明日、早苗に会ったら聞いてみますから。……なんか、すいません」
「いや、恋歌ちゃんが謝ることないんだけどっ。俺、なんかしちゃったかなぁ」
窓枠に頬杖をついて、肩を落としてなんとも寂しげな表情をする如月さん。
この姿……早苗に見せてあげたかったのに!!
そんなこと言ってる場合じゃないんだけど。
それからは取り留めのない世間話をして、気が付けばもう家が見える位置にいる。
「あ、ここでいいです」
藤野さんに声をかけると、小さく頷いて車を止めてくれた。
「家まで送っていくよ」
私が車から降りると、如月さんも降りてきてそう言った。
「え…。いえ、いいですよ___」
「俺がそうしたいの。ね?」
今日一日お世話になった如月さんの申し出を断るわけにも行かないから、私は如月さんのご好意に甘えることにした。