DislikeMan~男なんて嫌い~
「あら、恋歌ちゃんおはよう。今日は早いのね」
「あ、畑中さん。おはようございます。朝早く起きちゃったもので」
畑中さんとは、大家さんのこと。
普段は大家さんって言ってるけど、面と向かって話すときは畑中さんと呼んでいる。
「あら、そうなの。行ってらっしゃい」
「行って来ます!」
マンションの前の掃除をしていたのか、ほうきとちりとりを持って大家さんは手を振った。
そんな大家さんに手を振り返して、駅に向かって歩き出す。
いつもと違う時間に出ると、いつもと同じ道が違う景色に見える。
行きかう人も、車も、いつもと全然違うんだもん。
駅に着くと、電車の時間を確認する。
これもいつもと違うから、ちゃんと確認しておかないと乗り遅れちゃう。
時刻表を見ると、電車が来るまで5分ほどある。
なんていいタイミング。
鼻歌を歌いだしそうになりながら、ホームへ向かう。
ホームにはいつもより人数が多いような気がするけど、それも当然か。
まさに通勤ラッシュの時間だもんね。
私が列に並ぶと、すぐさま後ろにまた列ができる。
人の数は時間を増すごとに増えていって、次の電車に乗れるかどうか心配になる。
ゴーっと音がして電車が見えると、ホームにアナウンスが響く。
みんな徐々に前に詰めていく。
こんなに混んでるっけ、いつも?
怖くなるんだけど。