DislikeMan~男なんて嫌い~
あたりを見回して、空いている席に座る。
ふーっと息を吐いて、目を閉じる。
電車で4つ駅分だから、気を抜いていたら降り損ねちゃうけど、何もしないでいるのも退屈な距離。
ちょっと目を閉じてリフレッシュしていると、横からすごい視線を感じる。
目をうっすら開いて視線の先を見て見るけど、私を見ている人はいない。
気のせいだ、と首を振ってもう一度目を閉じる。
……やっぱり、視線が痛いんだけど。
今度は勢いよく目を開いて、視線の主とご対面。
「こ、小柳さん!?」
私の目の前に現れたのはすごい形相をした小柳さんだった。
「どうも。……ねぇ」
無の表情を浮かべたまま、そう挨拶をすると、なんだか寒気が走るような声で私に問いかけた。
「真咲とどこ行って、何してたの」
目を細めて、私を睨むようにした小柳さんの口から発せられた"真咲"という名前にちょっと戸惑う。
今日会った人を考えてみて、思い当たったのはたった1人。
そういや、城西さんって真咲って名前だったかも。
「どこって……映画見てきただけ、だけど?」
キョトンとして言った私を、小柳さんは疑いの色を浮かべた目で見ている。
「……そう」
とだけ言って違う車両へと向かった小柳さんは冷たい目に変わっていた。