DislikeMan~男なんて嫌い~



唖然としたままの私を見て、秦野くんは意地悪く笑った。


「見たんだよ、2回くらい。恋歌ちゃんが栗崎大の生徒と一緒にいるの」


「……うそ」


そりゃ、世の中狭いから誰に見られてたっておかしくはないけど。


こんな近い人に言われるなんて。


「しかも、2回とも違う人だったでしょ」


いったい、誰のときを見られてたんだろう。


薪坂さんとは結局デートできなかったから、他の3人ってことになるけど。


「ほら、如月財閥の跡取りと…優貴恵の元彼」


……まさか。


"優貴恵の元彼"の前でちょっとためを作った後、秦野くんの目に怪しげな光が宿った。


それを見て、私の中である考えが浮かぶ。


昨日、帰りの電車で小柳さんに話しかけられたことといい、この秦野くんのことといい。


この不可思議な出来事が偶然であるわけがない。


そういえば、秦野くんって小柳さんと仲良くなかったっけ……?


早苗に聞くしかないな、これは。


秦野くんの言葉はもう聞かないことにして、席から立ち上がると、早苗を目指して歩き出した。



< 243 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop