DislikeMan~男なんて嫌い~
だいぶ日が暮れてきて、外を眺めている薪坂さんを赤く染める。
そんな姿もまた、かっこよくて……。
「二人だけになっちゃったね」
「えっ……」
急に薪坂さんが振り返って、バスをぱっとみてそう言った。
うーん、やっぱりこの人は突拍子もないタイミングでものを言う……。
そこから少しバスが進むと、私の降りるべきバス停が見えてきた。
「あ、私もうそこなんで」
かばんからお財布を出そうとすると、薪坂さんがその腕をつかんだ。
「やっぱ行かせたくないや」
「は…?」
薪坂さんの言葉を理解できないうちに、腕を引っ張られて彼の腕の中にいた。
え……。
なに、なにが起こってるの…。
「ねぇ、恋歌ちゃん」
優しい声に顔をあげると、チュッとリップ音がバスに響いた。
「……っ…」
驚いて声も出せずにいると、彼は優しく微笑んだ。