DislikeMan~男なんて嫌い~
「俺だって、こういうことするからね?」
優しかったはずの笑みが、ちょっと妖しくなる。
その間にバスは進んでいて…。
「バス停……過ぎちゃったね」
なんて言うけど、完全に確信犯。
唖然呆然の私のおでこに優しく唇をつけて、甘い表情の薪坂さんと視線が合う。
こんなことする人だなんて……思いもしなかった。
卿渓さんが、頬にキスしたり抱きしめてくれたりしたけど、卿渓さんのイメージ通りではあったから、別に驚きはなかった。
だけど、薪坂さんがこういうことするなんて……。
いくら男だって言っても、意外過ぎる。
デートに誘ってくれた時の印象とかも、とっても奥手な感じだったのに。
……なんか、きっかけがあったのかな。
「降りようか。…送ってく」
自分がバスを降り損ねさせといて……。
苦笑しながら肯いて、薪坂さんとバスを降りるとき、ノリのいい運転手さんが″お幸せに″と笑いかけた。
…思いっきり見られてるやんっ。