DislikeMan~男なんて嫌い~
赤面しながらバスを降りて、今来た道を辿って逆戻り。
半歩前を歩く薪坂さんの姿をチラッと見つめる。
何度見ても端正な顔立ち。
ホント、悔しくなるくらい。
「…家、どの辺?」
「あ…もうちょっとです」
いつ聞いても優しい声で彼が訪ねた。
さっき降り損なったバス停を過ぎて、さらに3分ほど歩くと私のマンションが見えてくる。
お腹減ったなぁ……。
なんて呑気なことを考えながら家の前に立ち止まる。
「ここです」
「あ、ここなの。……よし、覚えた」
若干ストーカーチックなセリフを言って、なんとも無邪気に笑う。
「じゃ、また」
お腹が空いたと考えだしたら、早く何か食べたくて仕方なくなってくる。
ちょっと冷たい感じで言って、中に入ろうとするとパシッと音がして、腕に感触を覚える。
驚いて振り返ると、真剣な顔をした薪坂さんと目が合う。