DislikeMan~男なんて嫌い~
「ね、ちょっと恋歌ちゃん借りるねー」
パッと離れたと思いきや、すぐに腕を取って後の2人に問いかける。
『好きにしろ』
なぜが睨み合った2人は声を揃えて返した。
「だいたいな、お前みたいな女たらしが___」
「うるせぇ、てめぇみたいな金持ちなんかが___」
よく分からない罵り合いをしている彼らを残して、薪坂さんに腕を取られたまま部屋を出た。
気が付けば外はだいぶ日が落ちて暗くなっている。
このレストランには、どうやらテラスのようなものがあり、少し火照った体を涼ませるには良いスペースが確保されているみたい。
そこからは、綺麗な夜景が望める。
「ほんとに秀弥になにも言われてない?」
そんなに不安なら途中で戻ってくればよかったのに。
なんてもっともなことを思いながらも、コクンと肯くと、安心したような笑顔を見せる。
この顔、ほんと反則……。
思わず目を反らすほど動揺しちゃうんだから…。
「俺はね……恋歌ちゃんがほんとにいいと思う人と一緒になってくれればそれでいいんだ」
静かに語りだした言葉は、ちょっと意外なものだった。
こんなに″俺の恋歌ちゃん″って言っておきながら…。