DislikeMan~男なんて嫌い~
私より2,3歩前に出てテラスの手すりにもたれかかった。
「あれ、薪坂さん……。グラス持ってきたんですか」
「うん、この方が雰囲気出るでしょ?」
おどけたような口調でふざけた笑みを零した。
それで私も思わず笑ってしまった。
「ほんとなら、俺が幸せにしてあげる、とか言ってあげられたらかっこいいのかもしれないけどね……」
キュウッと胸が締め付けられるような笑みを口元に浮かべて、話を続ける。
「そんな自信、ないからさ、俺には。初デートの日も事故っちゃうような男だから、″約束″とか″絶対″とかそういうことに自信持てないの。
惚れた女にゃ幸せになってほしいだけ、ってね……」
呟くような言葉は急に吹いた風に持っていかれたように消えた。
グッと持ってきたグラスを煽って、自嘲気味に笑った彼は、パッと後ろを振り返った。
「……飲む?」
多分今日のメンバーで1番酔っているであろう薪坂さんは、若干目が据わって来てる。
確かにちょっと喉は渇いてるんだけど…。
躊躇っていると1歩近づいてきて、グラスを私へ伸ばす。
肯いて受け取ろうと手をあげると、伸びていた腕は引っ込んで、グラスの中の液体は彼の口へと流れて行った。
「え……」
なぜ飲むか聞いたんだ…。
呆れと苦笑の入り混じった表情でいると、薪坂さんは手すりにグラスを置いて私を引き寄せた。