DislikeMan~男なんて嫌い~
なんだか悔しく、恥ずかしくなって思い切り彼に背を向ける。
でも、後ろからギュッと抱きしめられたら、抵抗はできない。
「……だから言っただろ?一瞬で腰砕くって」
声だけでもわかるくらい、卿渓さんはにやけている。
まだ……唇に感触が残っている。
唇しか触れてないのに、どうしてこんなにも頭をボーっとさせるのか。
キスだけで、彼の経験が垣間見えた気がして、ちょっとジェラシーを感じる。
別に、私が嫉妬なんかする必要ないんだけど…。
「さっき庇ってくれて嬉しかった。やっぱり恋歌ちゃんは、優しい娘だなって思ったよ。
早苗とは、あんな形で終わっちゃったけど、本当は、本当に好きだったんだ。俺みたいな女たらしって言われてるような奴といてくれたことは、まじで感謝してるし」
切なげな声で囁いて、フッと自嘲気味に笑った。
「でも、今は……恋歌ちゃんだけだって思ってる。高校の頃はガキ過ぎて早苗を幸せにしてやれなかったけど今度は違ぇよ。
恋歌ちゃんが俺を選んでくれなくてもいいけど、絶対不幸にはしねぇって約束できるよ」
酔ってるからか言葉は乱暴だけど、真摯な気持ちはとても伝わった。
どうしてこの人たちはこんなにも、まっすぐに気持ちを伝えてくれるんだろう…。
みんな、ちゃんと想いをぶつけてくれるのに、私は何をしてるんだろう…。