DislikeMan~男なんて嫌い~



卿渓さんの腕に抱かれて、自己嫌悪気味になる。


私はずっと、男嫌いって逃げてきただけだった。


自分の気持ちも人の気持ちも、気づかない振りして、見ない振りして。


そうやってずっと自分を守ってきただけだった。


そんなんじゃ、いつまでも進まなくて。


早苗は、ちゃんと彼氏を作った。


1度は恋に破れても、それでもめげずに進んだのに。


私はずっと、高校の時のままで止まってる。


なんにも……変わってない。


薪坂さんが事故に遭ったとき、疲れるほど涙を流したのも、


早苗が如月さんを好きだって思ったから一緒に遊園地に行ったとき、結局彼は私を見てたって分かって、早苗に申し訳なくなったのも、


卿渓さんにバカにされたとき、子供みたいにいじけたのも、


今日だって…簡単にキスをさせたのも、


全部全部、この人を受け入れようとしていたからで。


どこかで男嫌いじゃなくなることを怖がってる自分がいた。


どこかで簡単に男を受け入れていいのかって怖がってる自分がいた。


でもそれは、ただの言い訳でしかなくて、本当は誰かと恋に落ちるのが怖いだけだったんだ。


いつまでも見て見ぬふりして、自分を誤魔化してたんじゃダメなのに。


頭でわかってても、気持ちの整理はつかなくて、ここまでずるずると来たんだ。


いい加減に、はっきりするときが来たのかもしれない。


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