DislikeMan~男なんて嫌い~
チンと音を立ててエレベーターの扉が開けば、迷いもなくそれに乗り込んだ。
「ちょ、春瀬!!どこ連れてく気よ!?」
問いただしても口を開かなかった。
ボタンを押すところはちょうど陰になって見えなかったし、何階のランプが光っているのかも、春瀬が死角になるところに立ってるから確認できなかった。
もう一度チンと音がして扉が開いた先には、私が想像していたのとは違う景色が広がっていた。
「あれ…」
「ここ、来たことあっか?」
得意そうな顔をした春瀬が降りたので、慌てて後に続いてエレベーターを降りた。
どこか部屋にでも連れ込まれるのかと覚悟していたけど、そこは涼しい風の吹く屋上だった。
「なんで屋上なんか……」
「ふつう上がれねぇと思うだろ?ここは、この時間だけ特別に開いてんの」
まだドヤ顔をした春瀬は、嬉しそうに説明してくれた。
こうなってくると、ますます春瀬のしたいことが分からない。
屋上はフェンスがあって、下に落ちたりしないようになっている。
そのフェンスに背中を預けて立っている彼から距離を取って、所在無く立つ。
「……で、何の用なの?」
全然口を開かない春瀬にしびれを切らして、私が言葉を発した。