DislikeMan~男なんて嫌い~
それでも彼は、しばらく口を開かずに俯いていた。
黙って見つめていると、パッとあげた顔は意を決したような表情だった。
「お前さ、あの3人の誰が好きなの?」
やっぱり、と肯いてしまった。
そのことなんだろうとなんとなく予想していたから。
「まだ誰って決めたわけじゃ…」
そろそろ、ちゃんとしなきゃって思いながら、まだなにも決められてない。
「…薪坂洸季、如月秀弥、卿渓心次。栗川大の4年と3年。
薪坂洸季は、姉がバイオリニストの恵実。両親と妹はオーストラリアに住んでて、つい最近まで事故で入院してたな」
急に彼は話し始めた。
突然のことに、私はポカンとするしかなかった。
「如月秀弥、あの如月財閥の跡取りだ。電車で通学してるけど、普段は白のロールス・ロイスに乗ってるな。運転手は秘書役の藤野喜男、58歳。
卿渓心次は、お前と仲の良い西川早苗の元カレ。別れた原因は、卿渓心次の心移りで___」
「もうやめてっ」
話の途中で、なんだか居たたまれなくなって叫んでしまった。
「……なにが目的?なんのために、彼らのこと調べ上げたりしたの!?」
春瀬の言ったことは、確かに全部合っていた。
メールの文面と考え合わせれば、春瀬が調べ上げたんだろう。