DislikeMan~男なんて嫌い~
あの夢が脳裏に浮かびあがった瞬間、私の目の前はさらに暗くなっていた。
「キャっ!!」
ドンッと鈍い音がして、背中がひんやりとして、視界が一瞬霞んだ。
「なら……俺とやり直すって言うまで、帰してやらねぇよ」
冷たく、感情のない目をした春瀬が、ガッと私の頭を掴んで揺らした。
「春……瀬…っ、止めてっ」
私が叫んでみたところで、春瀬の耳には届いていない。
グッと春瀬の腕に力が入れば、同時に髪の毛が引っ張られて痛みに顔を歪ませる。
「言えよ。俺とやり直すって言えよ」
まるで感情が欠落したように、まるでロボットのように、春瀬は無表情に言う。
「や……いやっ…」
髪が抜けても構わないと覚悟を決め、思い切り頭を振ると一瞬力が緩んだ。
その隙をついて、春瀬を押すと、バランスを崩してよろめいた。
「あっ……」
パッと走って出口に向かったけど、途中で視界がぐにゃりと歪んで、倒れてしまう。
とっさに後ろを振り向けば、やっぱり感情のない顔で近づいてきていた。
「来ないで……、来ないでよっ!!」
目に涙を溜めて叫んでも、春瀬は一向に止まらない。
どうしよう……。
どうすれば、ここから逃げられる?