DislikeMan~男なんて嫌い~
「如月……さん…?」
ジーパンに薄い青のトレーナーを着た如月さんが心配そうな顔で見ていた。
「やっぱり、春瀬か」
そして、ボソッといつもより低い声で呟いた。
私の座っているベッドに腰掛けて、ゆっくりこちらに手を伸ばしてくる。
そっと頬に触れて、こっちが苦しくなるような切ない目をする。
「あの……」
「ホントむかつく」
「え?」
私が恐る恐る口を開けば、彼は食い気味で返した。
「恋歌ちゃんをこんなに傷つけて……あの春瀬って男、マジでむかつく」
どうしてだか分からないけど、思わず私がたじろいでしまった。
「俺が駆け付けたとき、恋歌ちゃんは意識を失って倒れてた。春瀬は逃げた後だったけど」
そっと頬を撫でながら、穏やかだけどところどころ怒りの色を滲ませて話してくれた。
「駆け付けたって……どうして?」
「俺のケータイに恋歌ちゃんから連絡があった。嬉しくて出てみたら、恋歌ちゃんはなにも答えないけど、代わりに悲鳴が聞こえたんだ」
どうやら、倒れこんだ拍子に如月さんに電話がかかってしまっていたみたい。
「1人で探しに出るのは無謀だと思ったから、恋歌ちゃんのケータイのGPSで場所を特定した。
あんなに走ったの久しぶりだったよ」
そっと微笑んで、そっと私を抱き寄せた。