DislikeMan~男なんて嫌い~



「卒業してすぐじゃ、会社の経営なんてできないからね」


私を腕に抱く力はそのままで、如月さんの優しい口調で語られる言葉を聞く。


トクトクと音を立てる心臓が、どうか気づかれませんようにって思わず願った。


「だから、留学するの。2年くらい。


親父たちにはどっちでもいいって言われてるけど、どうせやるならちゃんとやりたいから予定としてはアメリカに行くことになってる」


体を少し倒して私の首筋に顔をうずめてふっと息を吐き出すから、少しくすぐったくて身をよじる。


「だからね……。


もし、俺と付き合ってくれたとしても、2年は確実に遠距離になる。その間、恋歌ちゃんにいっぱい迷惑とか苦労とかかけちゃうと思うんだ。


……付き合ってから言ったんじゃ詐欺になるかと思って」


そう言って如月さんは笑った。


「っ……」


そんな真剣に考えてくれてたなんて思いもしなかった。


どんな風に考えて行けばいいのか分かんないけど、私は誰が好きなんだろう…。


みんないい人だし、ちゃんと私をまっすぐ見てくれてる。


私がちゃんと決めなきゃいけないのに……。


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