DislikeMan~男なんて嫌い~


「ふー…」


ギリギリバスには間に合ったけど、我知らず走り出してたから背中は汗びっしょり。


これから薪坂さんとリサイタルなのに…。


薪坂さんと2人きりならまだしも(いや、それも多少なりとも問題はあるが)、周りのお客さんにまで汗臭いの匂ったら薪坂さんに恥をかかせることになる。


ましてや、お姉さんのリサイタルに一緒に来てた女の子が、なんて。


どうしようかと考えているとパッと思い当たることがあった。


鞄の中にシーブリーズ入ってっかも。


急いで鞄をあけて中を確認すると、やっぱり。


シーブリーズを取り出して背中に向かってプッシュした。


「ふー…」


さっきとは違う意味でのため息。


何とかなるもんだね、人生。


なんて大袈裟なことを考えていると駅前に到着。


時計を見ると10時25分。


ちょっと遅かったみたいだね、バス。


バス代を払って地に足をつけるとストイックという名の店を探す。


「あれ…かな」


ビルにかかっている看板の一つにストイックという名の店を見つけた。


でも店の看板の風貌は古めかしい感じ。


ストイックという文字も薄れかけていて目の悪い私がギリギリ読めるくらいだった。

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