天使の足跡



──まるで生き地獄のようだった。



何か悪いことをしただろうか? 

何か恨まれることをしただろうか? 


身に覚えはない。


でも、これが何かの罰だというのなら。



──ひどすぎる──



八杉の指示で、力任せにシャツの襟を開かれ、脱がされる。

更に、下に着ていたTシャツまでも奪い捨てられる。


外気に肌が晒された。


「あーあー可哀想に。制服、台無しだな」


わざとらしく言ったのは金井だ。


抵抗を続けてやっと田口の拘束を逃れるが、その勢いで前方に膝をついてしまい、また捕えられて、その場に組み敷かれる。


金井が仰向けにして両腕を抑え、八杉が足の自由を奪うために跨った。


「証拠、あんだろ。なァ?」


足を必死にばたつかせるが、それはしかし大柄な八杉の力には敵わない。


「やめろ……っ、嫌だ──……!!」


八杉の手がベルトに掛かる。


「ホントについてんのかよ?」


決死の抵抗も空しく、カチャカチャ音を立ててベルトが緩んでいくのを感じた。



(もう終わった……)




──そう、覚悟した瞬間。



「何してるの!?」



4人を見つけた加奈が八杉を睨む。


「へぇ? 3人とも、太田くんのこと妬んでるんだ? バカみたい!」


加奈は怖じ気もなく罵声を浴びせた。
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