天使の足跡
「何……? どういう事だよ……?」
「そのままの意味だよ。生まれてから、身体も心も半分男で、半分女。見た目は男みたいだろうけど……本当は男でも女でも、どっちでもないんだ。八杉に制服を脱がされそうになった時は、バレると思って怖かった」
秘密を打ち明けたのは、もう自棄のようなものだった。
拓也に打ち明けた時と違って、もう怯える事はなかった。
拓也は困りながらも、理解しようとしてくれている。今はそれだけで十分だった。
目を見開いたままの二人から、癒威は目を反らした。
「……こんなこと、急に言われても引くよね、ごめ──」
『ごめんね』と言おうとした途端に、
「そんな大事なこと、もっと早く言えよ‼」
「何で今まで言わなかったんだよ‼」
と二人に同時に言われ、たじろいだ。
「お前が苦しんでるって分かってたら、俺らだってもっと何かしてやれることあったかもしれないだろうが! ……いや、俺らじゃ何も出来なかったとしても、少なくともお前のことをもっと理解できたはずだ!」
「三谷……」
驚いている太田に、丹葉が言う。
「お前がどんな事で悩んでたって、俺達は仲間だ。たまには頼れって。ね?」
「丹葉……」