天使の足跡
こうして歩いてきた全ての道が“足跡”になって、疑いなく生きた“証”になっていくのだろう。
不意に、涙が溢れた。
自分が泣いていることに気がついて、慌てて拓也から視線を逸らす。
隣で聞いていた女性が、
「大丈夫?」
と声をかけてくれ、かろうじて頷いて涙を拭く。
その連れであろうギターケースを抱えた男性も、
「泣きたいなら泣いたらええで」
と後押しする。
いくら堪えようとしても、そうすればそうするだけ、涙が視界を曇らせて。
到底、泣かないなんてできるわけがないのは、分かっていたけれど。
初めは平静であった心も、今は何かが詰まったみたいになる。
胸が急に熱くなり始めた。
『君が好き これからも
ずっと……きっと
君と過ごした日々に
嘘は一つもない
Trust me……』