天使の足跡

2つの色の挟間を彷徨(さまよ)っていた自分の存在が、しっかりこの地に足をついていることを示された気がした。



この両足で、
ここに立っている──



自分の居場所は、生き方は、ここにあるのだと。


そして、生きてきた一秒毎でさえも意味があると、そう叫ばれているようだった。



『どんな色でも君が好き
 ただそれだけを
 伝えたい
 
 Trust me……』







 * * * * * *






曲は終わりへと向かっていき、最後の弦が弾かれると、拍手が沸きあがった。


僕は今までにないくらいの嬉しさを、この身いっぱいに感じていた。


嬉しくて、嬉しくて……


けれど、これは僕自身のための歌じゃない。



そう。

太田癒威に伝えたかったことの全てだ。




最後まで聞いてくれた人たちが僕に手を振って、そして笑顔で去っていった。
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