天使の足跡
らしくもない単純な出だしで、僕は思わず噴き出した。
「知ってるよ」
片方の手で携帯電話を支え、もう片方の手でギターケースを持ち直す。
「久しぶり。最近どう?」
『まあまあだよ』
「順調みたいだね。僕も負けてられないってことか」
『そう思うなら、早く来て。待ってる』
「すぐ行くよ!」
僕は駅に着くと、すぐに電車に乗った。
動き始めた頃、あの日太田が電車の中で話した言葉を思い出した。
メニュー