天使の足跡
* * * * * *
『……部活の話だけど、…実は選手を辞めたんだ。マネージャーすることになった』
『何で!? レギュラーだったんじゃないの!?』
『うん。でも、やりたいこと、見つけたから』
『なに?』
『それはね──』
彼は笑顔でこう答えた。
『歌を、歌いたいと思ったんだ』
僕は初めに驚き、だが徐々にそれは平然としていく。
『槍沢くんみたいにさ』
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改札を抜けて、駅を全力疾走して抜けていく。
するとすぐに軽やかなギターの音色が耳に流れ込む。
僕を呼んでいる──
風が僕の背を後押しした。
そのギターの音色を、足跡でもたどるように追っていく。